遺言知識あれこれ

遺言とは

 遺言とは、自分の死後に財産を誰に渡すかなどの法律関係を定める意思表示です。遺言は、法律に定められた方式に従って行う必要があります。

 遺言を作成することにより、例えば、

 「残される妻の生活が不安だから、自宅や預貯金は全て妻に残してあげたい」
 「老後の面倒を看てくれている長男に、お金を多めに残したい」
 「預貯金は全額、慈善団体に寄付したい」

 などのご自身の希望を実現することができます。

 

 遺言は、遺言の内容を理解し、判断を行うことのできる能力(「遺言能力」といいます。)のある人(関連Q&A『Q1.遺言能力がないというのはどういうことですか?』)が法律に定められた方式(詳しくは「遺言の種類」をご覧ください)に従って行う必要があります。

 

 また、一度作成した遺言を撤回したり、書き直したりすることも何度でも自由にできます。 (関連Q&A『Q2.遺言の撤回は簡単にできますか?』)

  • Q1.遺言能力がないというのはどういうことですか?

    質問

     主人が認知症で施設に入所しています。私達夫婦の間には子はおらず、主人の相続人は私と兄弟姉妹・甥姪で10人以上います。主人は元気なころ、「自分の財産は全てお前にやる」と言ってくれていたのですが、遺言などを作ってはいませんでした。今からでも遺言を作ることは可能なのでしょうか。

    答え

     遺言を含め、ある法律行為をする能力があるかどうかの判断のためには、「行為をする者の能力」と「行為そのものの難しさ」を総合的に考えることとなります。
     一般的には重い認知症の方は遺言を作ることが困難なことが多いですが、「私の財産は全部○○に渡す」という簡単な遺言であれば、その意味内容を理解できる場合には作成できる可能性もあります(なお、法律上、成年被後見人の方であっても、一時的に状態がよくなったときに、医師2名以上の立ち会いを条件に遺言を作成することができるとされています)。

     とはいえ、一般的には認知症の方が遺言を作成するのは困難な場合が多く、また、遺言者の死後に遺言の有効性をめぐって相続人間で争いを生む火種となる可能性もあります。

     「まだ元気だし、遺言を書くには早い。」

     と思われる方もいらっしゃると思いますが、人生いつ何が起きるかは分かりません。いざ遺言を書きたいと思ったときにそのような余裕がないということもあり得ますので、まだまだ長生きするからと後回しにはせず、心身ともにお元気なうちに遺言を作成することをおすすめします。

     

    遺言は書けるときに、まず書いておくことが重要です。
    書けなくなってしまうことや書かないままに亡くなってしまうことが最大のリスクです。

  • Q2.遺言の撤回は簡単にできますか?

    質問

     甥に何かと世話になっていたため、「全ての財産は甥の○○に渡します」という遺言を書いていたのですが、甥に不義理をされてしまい、財産を渡したくなくなりました。最近は弟の妻がよく私の面倒も見てくれているので、私の財産は弟とその妻に渡したいと考えています。前にした遺言を白紙にする(効力を失わせる)にはどうすればよいでしょうか。

    答え

     前に作成された遺言が手書きの遺言(自筆証書遺言)である場合、それを破って捨ててしまうだけでも、その遺言を白紙撤回したものとして効力を失わせることが可能です。
     一方、公正証書遺言を作成していた場合、お手元にある遺言書はあくまで公証役場で保管されている遺言書の写しであるため、それを破いて捨てても遺言の効力には何の影響もありません。
     そのような遺言の効力を失わせるには、「以前私がした遺言は撤回します」という遺言を作る必要があります(後から作成した撤回の遺言が自筆証書遺言であっても、公正証書遺言を撤回する効力は認められます)。

     なお、前の遺言を白紙にするだけではなく、新しい遺言を作成されたいという場合であれば、新しい遺言を作るだけでも前の遺言はその新しい遺言と内容が矛盾抵触する限度で効力を失います。
     そのため、ご相談の状況であれば、全財産を弟様とその奥様にお渡しするという遺言を作成するだけでも、前の遺言書は撤回されたものとして扱われます。
     もっとも、遺言の有効性に関する後日のトラブルを防ぐためという観点からは、新しい遺言書に「私が〇〇年〇月〇日にした遺言を撤回し、新たに次の通り遺言します。」と書いておくほうが適切です。

    一度作成した遺言は、後になってやはり遺言を撤回したり、何度でも書き直したりすることもできますし、遺言に書いた財産の処分が制限されるようなこともありません。
    遺言を作成することに不安を感じたり、ためらう必要はないのです。

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