遺言知識あれこれ

遺言のメリット

遺言を作成することには、以下のような大きなメリットがあります。

1 意思の実現:「法定相続人」や「法定相続分」にとらわれない遺産の承継

 遺言がない場合は、民法に定められた法定相続分を1つの目安としながら、相続人らの話合い(遺産分割協議)で亡くなった方の遺産の分け方を決めることになり、亡くなった方のお考えや希望が反映されるとは限りません。

  ☆法定相続分については,詳しくは「法定相続人と法定相続分」をご覧ください。
  ☆遺産分割協議については,詳しくは「遺産分割協議」をご覧ください。

 

 これに対し、遺言がある場合には、亡くなった方の希望のとおり、後継者や配偶者などの特定の相続人に法定相続分よりも多い割合の遺産を承継させることもできます。
 また、法定相続人以外に遺産を残すこともできるようになります。
 例えば、お世話になった方や慈善団体など相続人以外へ遺産を渡すことができます。

遺言があれば、大切な遺産は、ご自身のお考えどおりに受け継がれます。

 

2 スムーズな相続手続:「遺産分割協議」が不要となる

 上記のとおり、遺言がない場合に遺産を分けるためには相続人間での遺産分割協議が必要となりますが、相続人が多数いる場合や疎遠な方が相続人に含まれる場合など、話をまとめることが難しい場合が多々あります。
 また、相続人間でどのように遺産を分けるかを話し合うことでトラブルが発生し、良好と思われていた相続人の関係に大きな悪影響をもたらす可能性もあります。
 このように遺産分割協議を行うことは必ずしも容易ではなく、遺産分割協議を行わなければならないこと自体が相続人にとって大きな負担となります。

 しかし、遺言があれば、遺産分割協議を行う必要がないので、相続人の人数が多くても遠方に住んでいても疎遠であっても困ることはありません。

 

3 スムーズな相続手続:「遺言執行手続」を利用できる

 遺産の分け方が決まっている場合であっても、銀行や郵便局などの金融機関の預貯金や法務局で不動産の相続手続を行うためには、提出する書類などに相続人全員に署名押印してもらう必要があるのが通常であり、相続人が多かったり遠方に住んでいたりすると手続も非常に大変で負担が大きいです。

 しかし、遺言により遺産分割方法を定め、かつ、遺言執行者を指定していた場合には、 遺言執行者の署名押印のみで相続手続を行うこととして相続人全員の署名押印を不要とすることができるため、相続人に負担をかけることなく、スムーズに相続手続を進めることができるのです。

  ☆遺言執行者については,詳しくは「遺言の執行」をご覧ください。

①遺言により、遺産をご自身の希望のとおりに承継させることができます。

②遺言があることにより、遺産分割協議に伴う争いを防止することができます。

③遺言執行手続を利用することでスムーズに相続手続を進めることができます。

  ⇒ 財産等の承継の問題を解決するための切り札が、“遺言”です。

(関連Q&A)
『Q3.私の相続人は揉めないと思いますが遺言は必要ですか?』
『Q4.私はお金持ちではありませんが遺言が必要ですか?』

  • Q3.私の相続人は揉めないと思いますが遺言は必要ですか?

    質問

     私の相続人はみんな仲が良く、揉めないと思うので、遺言なんか作らなくても大丈夫だと思います。それでも作った方が良いのでしょうか?

    答え

     今は相続人間で揉めてしまうような気配がなくても、相続には必然的にお金が関係してきますので、遺言者が亡くなった後に揉めてしまうことが往々にしてあります。
     何年後かには子供の進学や住宅ローン、退職などで相続人たちの家庭の事情が変わったりしてお金が必要になっているかもしれません。
     また、相続人間の関係は良好だったものの、相続人の配偶者が口を出すことで揉めてしまうというケースもあります。

     本当に争いごとの種がないかは結局のところは分からないものですので、将来的に揉めてしまうことを防ぐという意味でも遺言を作った方が良いでしょう。

  • Q4.私はお金持ちではありませんが遺言が必要ですか?

    質問

     遺言なんて遺産が1億円とかあるお金持ちの人が作るもので私には無縁だと思います。本当に作る必要があるのでしょうか?

    答え

     相続で揉めるのは富裕層に限られません。相続人が複数いる限り財産額に関係なく遺言を作るメリットがあります。

     裁判所の調停となる事件(すなわち、遺産分割で揉めている事件)の中では、財産額1000万円以下の事件が全体の32%、5000万円以下の事件が全体の75%にもなります。

     このように相続で揉めるのは、必ずしも財産額が多い場合に限られないと言えますが、なぜでしょうか?

     それは相続人の感情が大きく働くからです。

     例えば、遺産が預金1億円、相続人が被相続人の子2人で、誰も亡くなった方の介護等をしていなかったというケースでは、相続で揉めるでしょうか?
     おそらくあまり揉めず、単に預金を半分に分けるだけになると思います。
     なぜなら、感情の対立がなく、単純かつ冷静に二等分するだけでよいからです。

     では、遺産は老朽化した自宅の土地建物1000万円と預金200万円(合計1200万円相当)、相続人は同居して長年にわたって介護等をしていた子(Aさん)と介護を嫌がり全くしていなかった子(Bさん)であるというケースではどうでしょうか。
     Aさんが家を引き継ぐという場合に、取得する財産額を均等にするためにはAさんがBさんに400万円を支払わなければなりませんが、Aさんの気持ちとしては素直に400万円を支払えるでしょうか?

     相続は感情と利益の交差点です。どちらかに問題があれば、すぐに揉めてしまいます。そのため、財産額が必ずしも大きい方でなくとも、遺言を作る必要があるのです。

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