遺言知識あれこれ
法定相続人と法定相続分
法定相続人とは、相続が起こったときに相続財産を承継する権利がある人のことをいいます。
配偶者は常に相続人となりますが、その他の相続人に誰がなるかについては、家族構成によって異なります(下記の表をご参照ください)。
先順位の相続人がいる場合は、後順位の相続は相続人にはなりません。
(例1)子(第1順位)がいる場合
→ 配偶者と子が相続人となり、兄弟姉妹、父母は相続人にはなりません。
(例2)子(第1順位)がおらず、父母(第2順位)がいる場合
→ 配偶者と父母は相続人となりますが、兄弟姉妹は相続人にはなりません。
(例3)子(第1順位)、父母(第2順位)がおらず、兄弟姉妹(第3順位)がいる場合
→ 配偶者と兄弟姉妹が相続人となります。
法定相続分とは、法定相続人が遺産となる権利義務を引き継ぐ目安となる割合のことをいいますが、遺言や遺産分割協議で法定相続人と異なる分け方を定めることも可能です。
各相続人の法定相続分は下の表の通りとなります。
(関連Q&A)
『Q11.実子と養子など、子によって法定相続分が変わりますか?』
『Q12.子が死亡している場合はどうなりますか?』
『Q13.相続人が不存在の場合、財産はどうなりますか?』
- Q11.実子と養子など、子によって法定相続分が変わりますか?
「実子」と「養子」、「嫡出子」と「非嫡出子」、「前妻の子」と「後妻の子」の相続分は違いがあるのでしょうか?
・「実子(出生によって実親との親子関係が生じた子)」と「養子(養子縁組によって養親との親子関係が生じた子)」
・「嫡出子(法律上の婚姻関係にある男女の間に生まれた子)」と「非嫡出子」(法律上婚姻関係にない男女の間に生まれた子)」
・「現在の妻(又は夫)との間で生まれた子」と「前妻(又は夫)との間で生まれた子」上記の子の間に相続分における違いはありません。
被相続人に「子」が複数人いる場合には、いずれの「子」であっても、その子らは全員が第1順位で法定相続人になり優劣はありません。もっとも、上記の家族関係の場合は子同士の関係性が良好でない場合が少なくなく、遺産分割協議でもめてしまうケースも多々あります(詳しくは「遺産分割協議」をご覧ください)。
そこで、残された子達の争いを避けるべく、遺言を作成しておくことが望ましいといえます。
- Q12.子が死亡している場合はどうなりますか?
相続人となるべき者(子)が死亡している場合はどうなるのでしょう?
「死亡した日」によって取扱いが異なります
1 相続人となるべき者(子)が被相続人の相続開始以前(同時に死亡した場合を含みます)に死亡している場合(詳しくは、下記の図をご覧ください)
→相続人となるべき者(子)に子がいるときは、その「子(=被相続人の孫)」が代わりに相続人となります(法律上、「代襲相続人」といいます)(民法第887条第2項)。
代襲相続の具体例(①~②は亡くなった順番)
2 相続人となるべき者(子)が被相続人の相続開始後に死亡している場合
相続人となるべき者(子)は被相続人の相続開始時には生存していましたので、相続人となります。
したがって、その者は生前一旦被相続人の相続を受けて権利義務を承継し、その後、その者が死亡した際に、被相続人から承継した権利義務(相続権)を、 その者の法定相続人が相続により承継することになります。
この場合は、上記の代襲相続とは異なり、相続人となる者が直系卑属に限定されるわけではないため、 相続人となるべき者の配偶者や兄弟姉妹、甥姪も被相続人からの相続を受けることになります。
詳しくは、下記の図をご覧ください。具体例2(①~②は亡くなった順番)
- Q13.相続人が不存在の場合、財産はどうなりますか?
私は今年で70歳になりますが、独身で子どもも兄弟もおらず、両親も他界しています。私の親族といえば、近所に住んでいる従妹1名しかおらず、従妹とは親しくしています。私が亡くなった場合、私の財産は従妹が相続できると考えて良いでしょうか?
従妹は法定相続人にはなりませんので、財産を相続することはできません。
この場合、相続人が不存在ということになり、ご自身の財産は国庫に帰属することとなります。このような事態を避けるためには、お元気なうちに、遺言を作成して従妹にご自身の財産を遺贈できるように準備しておく必要があります。
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